▼ 2019.9.18に大阪の松井知事が語った。「松井氏は大阪市内で記者団に「自然界レベルの基準を下回っているのであれば海洋放出すべきだ。政府、環境相が丁寧に説明し、決断すべきだ」 。冷静に科学的根拠を踏まえたうえでの発言だと感じる。だって、実際に福島に行って汚染水とは何か、汚染水処理とは何か、取りきれるものと取り切れないものは何か、取り切れないものはどうしたら良いのか、既にそうしたことは一定の結論がでているのだから。

▼ 取り切れないのはトリチウムだ。これは水の分子とくっついているので、分離できない。トリチウムの性格は、①ベータ線を出しヘリウム3というものに変わる放射線同位体、②半減期は12.3年(それなりに長い)、③β先の放出エネルギーは小さくてセシウム137・カリウム40の1/100くらい、④わかりやすく言えばサランラップ一枚さえ透過できない、⑤人体に与える影響は放射線セシウムの1/1000。Cs-137 やカリウムK-40 の1/100程度、⑥WHOが決めているトリチウムの飲用水基準は1リットルあたり10,000ベクレル、⑦福島の処理水トリチウムは1リットルあたり1,000ベクレル(https://hirohitorigoto.info/archives/242「ひろのひとりごと」 を参考にさせていただきました)。

▼ よって、海に流して薄めてしまえばWHOが定めている飲用水基準を遥かに下回るのです。生態系に影響があるレベルではないし、漁業者が困る事態にもならない。にも関わらず漁業者が顔を曇らせるのは「風評被害」があるから。で、「風評被害」は「根拠なき噂によって、ものが売れなかったり、無闇に怖がられる」ことですから、これは人の道にもとるわけです。

▼ にも関わらず、未だに多くのメディアや識者と呼ばれる人たちがケシカラヌと叫んでいるわけですから、これはもう立派な問題人たちでしょ。まずはきちんと調べてから意見はいいましょうよ。そんなわけで、松井知事とかそれを支持している元大阪知事の橋本さんのおっしゃることは極めてまっとうなわけです。

▼ 私は福島に行って、汚染水をためたタンクを見ました。最初は組み立てタンクだったのを、水が漏れるようになっちゃうので溶接までした立派なタンク。それがズラーッと並んでいる。でも、永遠に貯めることはできません。しかも、その汚染水とやらは取り切れるものは取っちゃったわけですよ。問題はトリチウム。でも、その濃度は上記の通り。福島の現地の人が、貯まり続けるタンクを見て困ったなあと思っているのだから、どうするのが安全かをきちんと考えましょうよ。

▼ 松井さんは「科学が風評に負けてはだめだ」と言ったそうです。骨のある勇気ある発言だと思うんですがねえ。