▼ 自公300議席オーバー、三分の二確保、絶対多数達成。これを受けて、円ドル相場や日経平均といった金融指標から、失業率やGDP成長といった経済指標がどうなるかについて15日朝から「業界雀」がピーチクパーチクと騒ぎ立てるでしょう。そんな中、ごく私的な見方を。

▼ まず、各種指標がどうなるかは相場は水モノ。「既に織り込み済み」と取られれば何も変わらないでしょうし、「アベノミクスのさらなる末端への波及」と取られれば指標は先取りで改善するでしょう。重要なのは、1日、1週間、1ヶ月でのアップダウンにとらわれないことです。

▼ メディアはああでもない、こうでもないと騒ぐでしょう。それが彼らの「商売」だからです。恥ずかしながらエコノミスト、アナリスト、経済評論家も同じく「商売」。百家争鳴は彼らの望むところです。しかし、事業をする人間は冷静な目を持つことです。

▼ 今回の選挙結果は複数の要因がどう考慮されるか、見られるかで評価は変わります。

▼ (1)少子高齢化の一方で、財政改革と経済成長とインバウンド消費や何度目かの技術立国を目指すアベノミクスが選択されたという事実。国民が民主党時代のバタバタには二度と戻りたくないと考えている事実。こればかりは、投票率の低さがあろうとも変わる物ではないこと。これは直視せねばなりません。「分厚い中間所得層」など見果てぬ夢であることを理解したうえで、どう日本がありたいかを国民が真剣に考えることが求められているという現実。

▼ (2)自国の政治経済の不安定さを、太平洋戦争時の日本の戦争責任を遡及的に訴え、目を外に向けることでしか自国の政治経済を維持できなくなっている東アジア(=北朝鮮、韓国、中国、そして下手をすると香港、台湾も)の不安定さで、上手に日本は舵取りをしなければならないこと。

▼ (3)米国の経済力喪失とオバマ政権の脆弱性の中、日米の安全保障の負担がより日本により掛かってくること、

▼ (4)欧州・イスラム国脅威・中東の徹底的な米国シェールオイル潰しとロシアのLNG潰し・それらを背景とする日本の立場的バランス

▼ 長くなりましたが、今回の衆議院選挙結果はこれらのパレート最適を求めることでもあります。

▼ そうすると、もはやサヨク的日本国論は無意味ですし、日本モンロー主義的ウヨク的立場も意味を失います。真に世界情勢を念頭に置いたしなやかな、したたかな柔軟性と国民の俯瞰的視野が日本に求められます。誤解を恐れずに言えば、私の故郷の北海道のキャッチフレーズである「試される大地」をもじれば、「試される世界の調整役」になるのです。日本政治、日本経済、日本経営者、日本国民の真の能力が試される難しく、やりがいのある局面がついに来てしまいました。