《 芳しい匂いに変わった「状況証拠」 》
 世間の流れが変わってきたように思います。私は「匂い」という言い方が好きなのですが、まさしく「匂い」が変わってきたような、そんな気がします。もちろん、悪臭ではなく芳しい匂いに、です。

 その証拠となるものはバラバラな「点」でしかありません。しかし、まずはざっとそれらの「点」をご覧になってみて下さい。

1.第三四半期が終了した段階で、2010年度通期業績はほぼ各社の予想数字に着地する可能性が高い。

2.客数プラス・客単価マイナスの方向性は変わっていないが、一品単価は下がっていても買い上げ数量は増えている(主に食品)。

3.10月・11月の決算発表時に各社が半信半疑で述べていた既存店増収率の改善トレンドが、2月でも続いている。

4.日本の国債が格下げされ、新興国の景気がいいのに、円高傾向が一向に変わらない。

5.中近東の政治不安、中国の成長率予想引き下げ、韓国の地方銀行破綻などに対して、米国失業率改善、日本の企業業績の改善など、国際情勢は数ヶ月前と逆方向に向かっているニュースを多く耳にする。

6.ギリシャ危機、スペイン危機、アイルランド危機といった金融危機はどこに消えてしまったのかと思うほど危機説を聞かなくなった。

7.「女子会」ブーム、ファミリーレストランの足下売上改善など、一部外食系の落ち込みが止まっている。

《 「余談」から拾う変化の匂い 》
 正直申し上げて、ササキの予想は当たりません。それは自分が一番よく知っています。ですから、私が右だと思ったときはたいてい左に向かいます。ですから、自分が過去に書いた中で、何か変化のにおいがあるかどうかを拾ってみました。

・2009/12/20-今年の漢字「新」は何を予見しているか:(骨子)悲観論が多いが、各証券会社は2010年度は増益と予想している

・2010/1/24-「高質消費」と「価格破壊」の循環:(骨子)「高質消費」の時代と「価格破壊」の時代は循環する

・2010/4/11-決算発表第一週報告、匂いが変わってきた?:(骨子)過度な低価格による消耗戦は「選択消費」「MD改革」「在庫の適正管理」など方向性を変えるのではないか。

・2010/4/18-決算発表第2週報告、「今年はおもしろいかもしれんで」:(骨子)経営者の目が「新業態開発の積極化」「高感度ディスカウント」「損益分岐点下げながら顧客を飽きさせない」「あるべき論の思い込みを捨てた新規顧客開拓と新規事業とサービス拡充」などの新しい方向に目が向いてきた

・2010/10/3-決算発表第一週報告と「現地、現物、現実」:(骨子)ある経営者の「当社は現地、現物、現実」を見ながらやることしか出来ない企業ですからというコメントに感動。

・2010/10/11-「残存者利得」か「単なる経費削減」か?(決算第二週報告):(骨子)客数の落ち方が緩和されており、残存者利得を得ている企業が出始めているように思う。

・2010/10/17-「生産系」への揺り戻し (決算第三週報告):(骨子)SC建設ブームの中でもてはやされた衣料専門店の中でも、生産系をきっちりやっているところは生き残っているし、形だけのQRやナンチャッテSPAだけをやったところは業績で苦労をしている。

・2011/1/9-「ノーメーク女子」と「草食系男子」のしたたかさ:(骨子)「嫌消費」などというが、若者の価値観が変わっている中、別のところでしっかり彼らは消費している。それを企業者が見逃しているだけなのじゃないか。

《 2008~2009年の悲観論は捨てよう 》
 ここまで書けば何が申し上げたいか結論はおわかりかと思います。

 ササキの予想はまず当たらないので、あまり本気で聞かない方がよろしいという予防線を張った上で申し上げれば、「消費と世界経済の潮目は完全に変わっている」ということです。それは私をふくめた机上の空論で物事を考えるオッサン、オバハンが想像つかないところで消費者はお金を使っているし、アメリカ型資本主義ダメ・新興国バンザイという流れも変わり始めているということです。

 お時間のあるときに、日経平均株価の流れを見ていただけないかと思います。10年間で見ても、5年間で見ても2007年夏の17,000円台はきわめて高い頂上です。しかし、その一年後にリーマンショックが起き、メディアは「100年に一度の不況」と騒ぎ立て、著名な大学の先生は「資本主義は崩壊した」と本を書きました。

 しかし、2年間の流れで見れば、2009年春の7,000円台の日経平均は2009年9月、2010年2月、2010年11月~今に至るまで10,000円を超えています。100年の一度の不況で、資本主義は崩壊した割りには、米国でも日本でも英国でも内乱も無差別テロも起こりませんなぁ。むしろ内的な政治不安を抱えているのは中近東であり、中国であり、ロシアでありました。これは一体何ざんしょ?

《 2011年度はもっとおもろいで 》
 2008年9月のリーマンショック以降、私のモットーは「すべてを疑え」になりました。そして今、あれから2年半が過ぎて、もう一度思います。「すべてを疑え。今、言われていることは本当なのか?。万物は循環するし、異常な事態は必ず崩壊して正常化するはずだ。」と。

 2011年度が始まりますが、今年度は「すべてを疑える」かどうかによって、チャンスをつかむか、ババを引くかが決まってくるのではないかと感じております。

 おっと、ササキの予想はあたりませんから、話半分でお願いします(笑)。

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