▼ 小ネタである。でも、最近思いっきり笑った小ネタである。

▼ (1)ある大手の食品メーカーの方に「面白い製品お作りになってますよね」とお話しした時の返答: 「うーん、確かに面白い試みはしている自信はあるんですよ。佐々木さんも仰っていたように『ブルーオーシャン戦略』って、どこにもいない青い鳥を探すことじゃなくて、顧客を創り出す製品やサービスを頭をフル回転して考え出すことですよね。だから、相当色々なプロジェクト立ち上げて、傍目にはバカじゃないかって思うようなことまで幅広げてやっているんですよ。」

▼ 「でもねえ、結局は流通(=小売)にその価値を分かって貰うのが大変なんですよ。こちらとしては、かなりぶっ飛んだ面白い発想をしたと思って売り込みに言っても、流通が理解してくれなければ棚にも置いてくれませんからねえ。で、挙げ句の果ては結局は仕切り値下げろ、でしょ?。まぁ、なんだか虚しくなりますよね。」

▼ (2)ある地元では人気のある食品スーパーの経営者に「地元で絶賛の人気じゃないですか」とお話しした時の返答: 「地元のお客様から支持をいただくのは嬉しいですよ。なんたって、働いているのも地元の人間ですからね。『おたくのアレ、おいしかったわあ』と言われると天にも昇る気持ちですよ。地元商品って、どうしても作っている工場やメーカーさんが小さいし、うちくらいの規模でこうしてくれ、ああしてくれとは偉そうにいえませんからね。どうやってwin-winにするかで毎日眠れないなんてことはしょっちゅうです。それが喜ばれるのは最高ですね。」

▼ 「とはいえ、そういう地元商品が全体の売上に占める割合はやはりそれなりのパーセンテージしかありません。やはり、いわゆるナショナルブランドで売上を作っている状況ですから、ここが収益のキーになっちゃいます。『おいしいわねえ』という人気も必要ですが、やっぱり収益がないとそれもできなくなっちゃいますから。でも、そういう大手メーカーのブランドに関しては卸の力は絶大で、これがそうそうこっちのいうことは聞いてくれません。激しい交渉の後、『お、こっちの条件呑んでくれたのかな』と値入を見たら、しっかり物流フィーやらなんやらで抜かれてますからね。差し引きゼロどころか、結局持って行かれてます。いやあ、したたかですよ。うちじゃかないません。」

▼ (3)財閥系の多い食品卸の中で上手に書く財閥系とも独立系とも付き合いつつ商売している食品卸の重役に「同業者とのバランスみながらの商売お上手ですね」とお話しした時の返答: 「そこは相当苦労して根回ししていきましたからね。ほら、出資比率も偏っていないといえば格好いいけど、どこにとっても中途半端な存在であるというのがウチでしょ?。だから、物量や収益だけでなく、どうやって信用を得るかという所はとても腐心しています。規模としては自虐的になる必要はないくらいの大きさはありますけど、やっぱり、どうほかの卸仲間から警戒されずに可愛がられるかが重要ですからね。」

▼ 「ただ問題はやっぱりマージンですよ。いえ、ね、この前の中期計画では色々な手を打って荒利益率を0.01%ずつでいいから、各分野であげようと決めて努力してきたんですよ。ところが、有力メーカーはこのコストプッシュインフレの中で頑としてこちらの要求は聞かないし、それを流通(=小売)に伝えよう者ならば、帳合いを変える(=取引先卸を変える)ということをチラつかせてきますからね。結局0.01%アップなんて夢のまた夢ですよ。」

▼ さて、お分かりの通り、(1)大手メーカー、(2)地元支持の強いスーパー、(3)それなりの規模の食品卸、の話である。だれかが得をしているはずなのだけど、全員が自分のところは顧客が難しく、収益が上がらないと言っています。これはウソをついている人がいるのでしょうか。それとも、メーカー→卸→小売のサプライチェーンで何か齟齬が起こっているのでしょうか。どのように思われますか?。もしかしたら、昔流行った「問屋不要論」が再燃したりするのかもしれません。

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