- 比較的好天に恵まれた今年のゴールデンウイークの車中。「5/8はなんの日でしょう」、カーラジオから流れてきたクイズ。うーん、昭和の日でも憲法記念日でもみどりの日でもない。一体何だ?。 答えは、「2023年5月8日に新型コロナが5類に移行した日」なんだそうだ。そうか、そんなに時間が経ったか。

- コロナ禍が本格的に脅威を古い始めたのが、そのあたりから。4月の緊急事態宣言は「不急不要の外出自粛、施設の使用制限(休業要請)、イベント開催の自粛」が求められ、実質的に家で閉じ込められることになった。


- 困ったのが諸良品や生活必需品の買い出しだ。自家用車をもっていればまだ良かったが、当時の我が家は保有していない。カーシェアも誰が直前まで乗っていたかわからないクルマを借りるのに躊躇する中、結局近隣の店に買い出しに行くのは徒歩か自転車しかない。そうした不便の中、驚くのは流通に携わる人々の高い使命感だ。どういった害を持ち、感染経路も分からず、予防法も全く不明なウイルスが恐怖を与えるかわからないため、街から人が姿を消す中だったが、流通業は川上の製造業から川下の店舗までしっかり稼働していた。






- 時期は丁度、小売業の二月決算発表。急遽、電話会議で行われた決算説明会で筆者が参加できたのは、ローソンの決算説明会だけだった。慣れない電話会議で質疑応答は混乱する中、筆者はアナリストとしての最後となる質問をした。多くの質問の中、幸運にも最後に指名をいただいた。だが、したのは質問ではない、感謝の言葉だ。「この緊急事態の中で店を開け、ライフラインを止めることなく頑張っている流通に関与する人々への感謝を是非、経営陣から多くの関係する人に伝えて欲しい」。そう、これまで経験してきた多くの震災や自然災害でも、流通業はまず店を開き、物資を供給することを第一に考えてきた。1995年の阪神大震災では経費的に赤字を厭わずヘリコプターで物資を運び、2011年の東日本大震災では海運陸運ともに機能不全に陥った太平洋側からの物流をすべて日本海側に一度集約し、秋田や山形や新潟まで運び、そこからまだ雪残る山越えをして太平洋側の被災地に大量の物資を流通業は送った。




- 流通業で雇用されている従業員や雇用者も凄い人数に上る。例えばイオン株式会社連結ベースでは16.8万人、世界中のグループでは62万人だ。これが卸。小売全体の従業員数は1,150万人に上る。これだけの人間に日本のライフラインは支えられているし、また流通業はこれらの人々に賃金を支払い、この後にいる家族親族の生活を支えている。
- しかし筆者が残念でならないのは、震災や自然災害や感染症などが発生した時の彼らへの感謝は全国を覆うが、喉元過ぎればその感謝はいともたやすく忘れ去られることだ。それは産業界の中でもそうらしく、例えば経済三団体で役員となったのは経団連の副会長を勤めた中内功氏と鈴木敏文氏の二人のみだ。数々の危険に身をさらし、市民生活を支える産業へのこの評価は不当に低くないか。コロナ禍のこと、数々の震災とそれに伴う生活のサポートのことを思い出す度に筆者はなんとも複雑な気分になる。
- NHKテレビで人気芸人のサンドウイッチマンが病院を訪ねて簡易的なラジオ局を開設する「病院ラジオ」という番組がある。大好きな番組だ。拝見していて常に感じるのは病や怪我で苦しむ人々を支える医療従事者の努力の尊さだ。また、しばしば警察や消防、自衛隊などの市民を支える活躍も番組で取り上げられる。しかし、流通に携わる人々への感謝が継続しないのは何故なのか。疑問でならない


- ゴールデンウイークで家族親族がふるさとや旅行に出かけ、束の間の息抜きをする中も、流通業は休まない。医療機関や警察、消防などもそうだ。そうした人たちのおかげで日常生活を平穏に送れていることへの感謝をわすれないこと。それをふと頭をかすめた「5/8コロナ五類移行三年目」のニュースだ。
(了)