▼ 本屋さんの数が減って欲しくないので、なるべく本は本屋さんで買うようにしている。でも一方で、Amazonの便利さも捨てがたい。特に、寝ながら本が読める書見台とか、スマホのケースとか、どこで売っているのかわからないものや、多すぎる種類を絞り込みたい買い物には便利だ。

▼ そんなAmazonで先日新しいサービスを見つけた。といっても、既に開始されて多くの日にちが経っていて、僕が知らなかっただけなんだけど。「プライムミュージック・ビデオ」というやつで、多くの商品の配送量がタダになるプライム会員(年会費3-4000円)になると使える。

▼ 要は音楽や映画、テレビドラマがタダで見れます/聴けますということなんだけど、そのバラエティがハンパない。ビデオはあまりにも豊富で、テレビで放映される映画を録画するのがバカバカしくなるほどだ。

▼ そして今、お気に入りなのがミュージックの方。個別のアルバム(って今は言わないのかな?、昔で言うところのLPです)だけでなく、「読書しながら聞くJAZZ」なんていう、お勧めプレイリストが用意されている。中には「曲は知っているけど、タイトルを知らなかった」有名な曲なんかも入っていたりするし、今聞いている曲の関連で「こんな曲も聴きません?」と尋ねてきてくれる。ワンクリックすれば僕のお好みリストに入れてくれる(有料の曲もあるが、タダのも多い)。

▼ さすがにビデオを通勤や外出で見る時間はないけど、音楽ならば聴ける。以前は高かったスマホ通信費も、格安スマホ回線の登場でがっつり安くなっている。音楽音声データは映像データよりもサイズが小さいので、電車の中でずっと聞いていても追加通信料がかかることはない。このせいで、僕のiPhone用の音楽管理ソフトiTunesは最近放りっ放しだ。

▼ こうなるとレンタルビデオ・CDだけでなく、音楽のダウンロード販売もスマホ用の音楽管理ソフトも無用だ。通信回線さえあればデジタル化できるものは、もはや保有の必要もない。以前に書いたように、車だって家だって駐車場だってあらゆるものが「シェア」すればいいのだから、そりゃモノは売れない。音楽業界が厳しい状況なのもむべなるかな。

▼ そんな音楽業界が唯一収益として上がっているのがコンサート、ライブだ。こればっかりは見に行かねばならない「リアル」ですから。んでもって、そのコンサートチケットがやたらに高値で転売されているからけしからぬと意見表明した。確かに先日行ったコンサートでも「入場には身元確認する」とか、チケットに住所氏名が印字されているとか必死のようだ。

▼ でも考えてみれば間抜けな話だ。数千人、数万人の観客が来るコンサートでいちいち身元確認する手間のほうがはるかにコストが高い。むしろ、80%は正価で売って本人のスマホに送るバーコードがなければ入場できなくし、20%は自分達でオークションをやり1万円のチケットを10万円出してもどうしても聞きたい人にでも売れば良い。「リアルの価値」を自分達でコントロールすることが今後のビジネスのキーになりそうだ。

▼ 中国からの爆買い消費も越境ECと「コト」消費に移ったという。知人は「元々頭の良い中国の人は、LCC+民泊+コンビニという最高の格安手段で来てるよ」と日本政府や流通業の無策に呆れている。既に死後になりそうな「インバウンド需要」も含めて、「リアルの価値」を如何に収益源にするかに頭を使う時期になったのだろう。