▼  親会社も小会社も株式を公開するのを、親子上場と言う。昔から有名なのは富士電機、ファナック、富士通。

▼ ところが、親子上場は受けが悪い。子会社を100%保有していれば子会社の業績は100%親の利益に貢献するが、株を公開して、親以外の株主が持つと、その割合分、親に貢献する利益が減るからである。

▼ でも本当だろうか。株を公開することはとても大変なコーポレートアクションだ。だから、株式公開が決まった子会社は大変な苦労をして公開準備をする。公開したらしたで、株価の動きに一喜一憂せねばならぬ。親会社から怒られもするだろう。

▼ しかし、そういう関係が子会社の人材を育てるとも言える。証券会社のレポートによると、2006年の417社をピークに直近は289社まで親子上場は減っている。1998年水準とのこと。逆にいえば、それだけ経営者の経験を持つ人間が減っているとも言える。

▼ 創業者や設立間もない頃のしんどい時期を物理的に経験できない人にとっては、株式公開というのは擬似的に創業時期の苦労を経験できる貴重なことでもあるという味方も存在する。いわゆる「使える人材」が減っていることに悩む企業にとって、株式市場の非難をわかったうえで、親子上場するというのは、人材育成の早道かもしれない。事実、イオンの創業者の岡田卓也氏とその姉 小島千鶴子氏は意図的に親子上場を進めてきた。現在はその統合で苦労をしてはいるものの、イオンが流通のトップカンパニーにのし上がるだけの人材を育成できたのは親子上場のおかげだと言えなくはないように思える。

▼ 果たしてマーケット理論の言う通り、親子上場は罪なのか。