▼ 消費税増税がついにはじまった。予想通り、中小企業によるキャッシュレス決済のやり方はわかりにくく高齢者を中心に混乱を招いているし、何よりも「ないない」と事前に言われていた消費増税の駆け込みはしっかりと九月末にあり、その反動はわずか数日だが小さくはないようだ。国際政治を見ても、国際経済を見ても、明るい話はない。東京オリンピック後を真剣に考えなければならなくなってくるだろう。

▼ 加えて思うのは、金属疲労を起こした企業や産業が多いことだ。もはや今まで通りの商売のやり方は通用しなくなっていることくらい、失われた30年で分かっていそうなものだが、いまだにそこにしがみついている経営者や従業員、そして日本経済人は多い。面白い例示としては、iPhoneX(10)が人気出ずに何度も減産に追い込まれて「iPhoneはもうだめだね」と囁かれていたのがほんの数か月前なのに、新しく販売されたiPhone11は飛ぶような人気で1割増産に入ったそうだ。売り出してわずか数週間で。で、面白いというのはそれを読んでいたのはモバイル評論家でもITの専門家でもなく、デザイナーだったということである。

▼ 筆者の友人の子息はそういったデザイナーやマーケッターが集まる組織でバイトをしている。そこでiPhone11のプロトタイプがリークされた時から、「あ、これは売れるね。売れ筋は中高年は新色の緑色だ」とまで言っていたという。数か月後ドンピシャその通りになったわけだ。もはや、従来の常識の性能だとかそういうものではなく、無形資産で商売が決まる時期が来ている。そんなことを感じさせる。

▼ 一方で悲惨な将来が予想されるのが自動車業界。私は無類の車好きで、学生時代に親ローンを借りて一台目を手に入れてから車道楽だけは続けてきた。しかし、今後もそれを続けるかどうかを迷い始めている。背景は簡単で、(1)シェアリングなどの方がコストが安い、(2)そのシェアリングも車種を選べるので色々な車に乗りたい人間のニーズに合う、(3)車がらみの事故やらあおりが多くコンプライアンス的なリスクをプライベート使用でも負うようになってきた、(4)新車ディーラー・中古車販売店・整備工場・自動車部品専門店などが似たようなサービスを出しているのに値段が違い、選ぶのが面倒。

▼ マツダや日産が過去にディーラーの取り扱い車種を一本化したように、トヨタもすべての車種を売るようになる。また内燃機関から電気自動車へのシフトは避けられぬ。電気自動車になれば、もはや車はプラモデルと一緒でアセンブリをするだけのプロダクツだ。電球がLEDに変わったのに似ている。しかし、それでもクルマというものの神格化を続けているビジネスがまかり通っている。

▼ 旧車はよい。これは思い出とつながったビジネスだから。人が生き、思い出を持ち続ける限りは残るだろう。ディスクユニオンでEP盤やLP盤を買うのがブームになっているのと同じだ。しかし、新車や中古車は違う。新車ディーラーのローン金利の高さは犯罪的だと思う。どうして金融庁はとりしまらないのか。また、銀行も自動車ローン自体が存在しなくなりつつある。談合でもしているのか?

▼ タイトルから少々ずれてしまったが、金属疲労を起こした産業企業がいまだに生き残っていこうとするのは何かが間違っているように思えてならない。