• 盆休みということで二回、当コラムもお休みをいただいた。お盆時期の一週間、予定無し、計画無しの「夏休み」は、絵日記や宿題も全部後回しにできた子供時代以来かもしれない。「ひまわり、夕立、蝉の声」(by吉田拓郎)。駅前のひなびた屋外喫茶コーナーでアイスコーヒー飲みながら見る、真っ青な青空に浮かぶ入道雲は子供の頃と変わらない。
  • 初日: ずっと観たかったAmazonプライムのオリジナル映画「沈黙の艦隊」を鑑賞。1988年~1996年に大人気を博した硬派の漫画の映画化だ。相変わらず世界中で紛争が止まず、大国や国連をもってしても仲裁が難しい時代。ここで描かれている「一隻の原子力潜水艦が、抑止力を持つ国家となる」という、当時は信じられない設定が、今はリアリティを持って迫ってくる。海上自衛隊の「ちょうげい」型潜水艦は、東芝のSC iBバッテリー搭載による電気駆動で充電時間は10分以内で発火危険性無し。さらに探知されるスクリュー音も、超電導磁石を用いた電磁推進装置を搭載されると、艦内生活音以外は全くの無音。30年前に描かれた漫画が現実味を帯びている。「専守防衛」を日本が守り続けるならば、この作品のような防衛方法はあるのかもと想像。
  • 二日目、三日目: Netflixでザッピングする中、なんとは無しに「あいの里」という恋愛リアリティ番組を見始める。古くは「ねるとん紅鯨団」、新しいところでは「バチェラー」「テラスハウス」「あいのり」「オオカミには騙されない」などがあり、コンセプトは新しいものではない。が、この「あいの里」は「生涯最後のパートナー」を探す中高年が出演者というところが新しい。高齢化社会、アクティブシニア、「出会いのない社会」を象徴しているとも言えるし、何歳になっても人は人が恋しくなるという人生の深淵を感じ、配信済みの1、2シーズンを二日間で一気に観る。女性の妊娠可能連年齢という生物学的な限界、パートナーに求める「やさしい」の因数分解、そして駆け引き(トランプさん的に言えば「ディール」)。現代社会のあらゆる要素が集約されている。
  • 四日目: 今日はYouTubeのザッピング。先日の参院選で当選した「チームみらい」の安野貴博さんの動画を見る。お恥ずかしながら都知事選でも、参院選でも彼は全くのノーマーク。ところが動画を見て深く反省。分かりやすい言葉で、これから起こるであろうAIなどを始めとした技術による「技術的特異点=シンギュラリティ」を日本がどう取り入れて国際競争力を上げていくかの説明は説得力120%。特に「有史以来あり得なかった、安く『知』を市井の人が得る方法を手に入れた」という言葉には、体に電気が走る。次に観たのが、堀江貴文さんと中島聡さんの核融合発電についての議論。「一般論として発電効率としては依然として高い太陽光発電だが、高温多雨の日本では実用するのは難しい。むしろ、海に囲まれ重水素と三重水素(トリチウム)を得やすい日本では核融合発電に向かうべき」という意見は目から鱗。うーん、スーパーの月次既存店増収率や、粗利益率、出店計画などばかり見ていては、頭カチカチのじーさんになってしまうなあと、またもや反省。
  • 五日目①: 自室でエアコンは素晴らしく快適だが、太陽光にあたらないと元気ホルモンのセロトニンの生成に問題があるようで、ちょっと鬱っぽくなってきたので、愚息と渋谷へ遊びに。昼は焼肉食べながら、お互い仕事の悩み相談や愚痴を話して気張らしして、18時の夕食まで別行動することに決める。ところが、日常も座り仕事、出張の移動も座ったままで足の筋肉と関節が衰えているのか、真っ平らな横断歩道で足がもつれて盛大に前のめりにコケる。右手にスマホをもっていたので、それを守るために右手を前に差し出してスマホを守りながら、まともにぶっ倒れる。おかげで右手の肘あたりはずるむけ状態。恥ずかしくて一刻も早く立ち去らねばと思っていたら、「いかにも渋谷!」というカップルが二組とインバウンドで日本に来ている外国人が「だいじょうぶですか?」「Are you, OK?」と駆けつけてきてくれる。お礼を言って起き上がり、何事もなかったように立ち去ったが、心底、「若い世代はやさしい」と痛感。確かに電車の中でも、席を譲っているのはたいていは若い世代だ。「日本はもうだめだ、衰退するしかない」というマスメディアの論調は、昨日の安野さんの動画といい、堀江貴文さんの核融合発電といい、今日のやさしい若者達といい、実は情報操作なんじゃ無いかとふと思いつつ、傷の消毒薬を買いにドラッグストアを数軒回る。
  • 五日目②: 愚息と再会。夕飯は面倒なので、お気に入りの「美登利寿司」がやっている回転寿司業態「活」の渋谷西武店へ。しかし、予想はしていたが、席につけるまでに1時間待った。食べ始めて注文しようと注文用タブレットを押そうとするとやたらと同じ広告が流れる。寿司カウンターでインバウンド外国人とおぼしき客が刺身を切ったり、寿司を握ったり。どうやら、インバウンド向けの「コト消費」サービスである「寿司活LAB ( https://katumidori.co.jp/sushikatsu-lab/ )」という新サービスらしい。お値段も手頃。ふと、大手百貨店の副社長が先日仰っていた「日本だけでは無く、世界的にラグジュアリーブランドの需要が落ちている気がします」という言葉を思い出す。そういえば、クルーズ船「飛鳥III」がいよいよ稼働を始め、大人気だ。ジャパネットたかたのクルーズも人気がある。インバウンドだけでなく、世界中の消費者が「モノ消費」よりも「コト消費」に向かっているのじゃないだろうか。言われてみれば、「買取店」の増加も何かを象徴しているように思う。ラグジュアリーブランド離れか、モノよりキャッシュだから売却するのか、はたまた無くなる年配者の増加による遺品整理需要の増加か。
  • 六日目: 顧客というより友人に近い小売業の経営者とメールやりとり。根っからの「スバリスト」(スバルの車を愛するマニア)である彼で、「いつかはWRX S4 STI Sport」(スバルの最上級スポーツカー、速い!)とお互い合い言葉にしてきた。しかし、長年付き合ってきた地元のディーラーの不親切で嫌気がさし、「SUBARUはもうやめた」といい、買ったのがTOYOTAの「カローラスポーツ」。何度か乗せていただいたが、うん、なるほどイイ。突き抜けたところはないのだけど、必要な装置は全部てんこ盛り。「じゃんがららーめん全部入り」だ。もう少し食べたいのならば「替え玉」「ライス」にあたる「特別仕様車」を選ぶと言うことか。で、夜はこれも顧客というより友人に近い、長い関係の小売業の方。彼もバイク、クルマ好きなのでもっぱらその話になったのだけど、筆者のずるむけの右手肘について訊いてきたので顛末を説明する。そこから、若い時は比叡山のワインディングを600ccバイクでかっ飛ばしていた彼も、昨年買ったバイクに乗るとクラッチ(左手)と前輪ブレーキ(右手)とカーブで体を傾ける体幹使いで、家に帰ると筋肉痛で動けないという話に。加えて、四輪も「SUBARU B4」(前の世代のスポーツセダン)で爆音とどろかせて店舗視察に行っており、再婚を機にMAZDA「ロードスター」を二台乗り継いでオープンカーをエンジョイしていたのを、乗り換えることにしたという。それがなんと、「カローラツーリング」。理由は先ほどと同じ。バカにしていたCVTのフィールは機械式ATと比べてなんの遜色もなく、ブレーキはどういう踏み方をしても素直に確実に反応し、装備はやはりてんこ盛り。ロードスターを下取りに出せば追い金100数十万円で買えるんだぜ、と。「カローラ『で』いいじゃなく、カローラ『が』いい」というところにクルマ好き世代である自分達の変化を感じる。ちなみに2ドアは乗り込む時に夫婦揃って腰が痛いのだそうだ(苦笑)。
  • 子供が大きくなってどこかに連れて行く必要もなくなり、両親は鬼籍に入って法事や様子見に行く必要もなくなり、パートナーはパートナーでマイペースで変わらぬ一日を過ごす中での、お盆の夏休み。なんのイベントもないけれど「変化への気付き」は数々あった、なかなかの収穫を得た夏休みでした。

                   (了)

[補足1 自己紹介]

  • 1988年に野村総合研究所に入社以降、証券アナリスト・研究員をして参りました。メリルリンチ証券、クレディスイス証券、リーマン・ブラザーズ証券では投資家向けのレポートを書く証券アナリストをし、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻による野村證券移籍以降は投資銀行業務のリサーチャーを致しました。
  • 2020年に野村證券を円満退社し、4年ほど早稲田大学商学学術院で教員(研究院准教授)をしておりましたが、折悪しくコロナ禍で対面での調査研究が難しく、還暦を機に再び「一人証券アナリスト」というべき仕事をしております。通算35年ほど流通・消費産業の研究調査をさせていただいており、多くの方にお世話になったこと感謝しております。
  • 現在は、デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー合同会社( https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/dtfa/deloitte-tohmatsu-financial-advisory.html )やP-ALMキャピタル株式会社( https://p-almc.com/ )の産業アドバイザー・アナリストのお仕事を受けながら、引き続き流通・消費の調査研究を行っております。2024年5月で退任しましたが、アークランズ株式会社の社外取締役・監査等委員・指名報酬委員も経験させていただきました。

[補足2 「風待食堂」と「知見ラボ」について]

  • 証券アナリストをしていた頃に、お世話になっていた方に送付していたメールマガジンを事務所開設以降、再開致しました。突然の長文のメール、「スパムメールでは」と驚かれたかも知れませんが、その送付再開をこの「風待食堂」で行っております。お目汚し恐縮です。送付不要ということでしたら、こちらまでご一報くださいませ。また、「送信先が二重に登録されているらしく、二通来て邪魔なんだが」という時もどうぞ御指摘ください。
  • なお「風待食堂」というちょっと妙な名前の由来を御説明させてください。これは高倉健さん、倍賞千恵子さんなどが出演された名画「駅~STATION~」の舞台となる、北海道増毛町の実在の食堂の名前です。この食堂がどういう存在か、「風を待つ」意味など、是非、映画を御覧くださいませ。
  • 証券アナリストでお世話になったIRや財務、経営企画の方々と気楽な呑み会を行っておりましたが、2020年のコロナ禍の行動制限を受けて「ZOOM呑み会」を始めました。
  • ただ、それも飽きたと言うことで、今後、何かするためのビークルとして「一般社団法人 知見ラボ」を設立しました。過去、証券アナリスト時代からメルマガでお送りしている過去分は「知見ラボ」Webサイトの私の研究室( https://www.chikenlab.net/?cat=15 )に保存しております。よろしければ御覧下さい。ただ、長い間にわたって書き綴ってきたため、過去のものの中には内容が古くなっており、現状と齟齬があることはご容赦ください。

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佐々木泰行事務所

代表・研究主幹

佐々木 泰行(ささき やすゆき)

電子メール GCB01303@nifty.com

携帯電話 090-2629-2115

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One thought on “2025/8/23 あたいの夏休み”

  1. 2週間
    お盆休み頂け
    良かった良かった。
    右ひじ事情
    わかりました。
    その位で済んで
    何より何より。
    まだまだ
    お大事に。

    そして、
    益々
    フレーフレーフレー♥

    暑さ

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