▼ 米国の電気自動車メーカー、テスラが車好きの間では話題です。カッコイイし、なによりも1充電で500km走れるというのが凄い。電気自動車は加速も力強く、また丁寧に運転すれば航続距離も伸ばせるので、運転テクニックも競えます。

▼ そんなテスラに対して「お前らは製造業じゃない!」と反発する既存自動車メーカーが多いとのこと。理由は二つ想像できます。一つは、電気自動車は自動車の中で一番複雑で開発コストがかかるエンジン不要なので、既存自動車メーカーは電気自動車が流行るとこれまでの投資を無駄にせねばならないこと。だからエンジンも残せるハイブリッドが日本で流行るわけですね。

▼ もうひとつの理由は、既存のパーツを組み合わせると自動車が作れちゃうこと。ナビはiPad組み込んじゃえば済みますし、洒落たダッシュボードやシートは革製品メーカーに任せればOKです。カッコイイ外観はアストンマーチンとかマセラティあたりから部分部分パクッてくればいいです。エンジン音しませんので吸音材の技術はいりませんし、サスペンションなんてこの50年間おおよそ発展してませんから。

▼ これはLEDの発想に似ています。LEDは発光ダイオードと電子回路とそれを入れるプラスチック部品を組み合わせるだけですから、電機メーカーじゃなくても誰でも作れます。電球メーカーがもはや生き残れないことは既に常識になりつつあります。

▼ で、テスラはこれを一大産業である自動車産業でやってしまうわけです。つまり「作らない、組み合わせる」だけで、ブランドさえあれば一台2,000万円近い車が作れる。リチウムイオン電池は電池メーカーに「もっと長持ちするのを作れ」と言えば良いし、制御装置は技術はあるけどつぶれかけている某国の電機メーカーに言えば喜んでやってくれる。

▼ ビジネスで儲けるコツは、自分でやらないで人様の成果を組み合わせて価値提供する「人のふんどしで相撲を取る作戦」です。これでは元も子もないので、「プラットフォームを作る」などと言いますが。今まではサービス業でプラットフォームビジネスの起業が大流行でしたが、これからは製造業もプラットフォーム起業が勃興するでしょう。第二、第三の産業革命なのかもしれません。