《 「節操がない」=「恥」じゃないの? 》
 今日も大河ドラマを見た後にこれを書いておりますが、最近ちょっと佐々木は龍馬かぶれではないかと言われそうなので(笑)、今日はその話はやめましょう。龍馬かぶれならまだしも、龍馬気取りの方も少し前はテレビの政治ニュースで失笑を浴びていましたので、そうなってはまずいでしょうから。

 それにしても、その龍馬気取りの人(最近全然見まへんなぁ)のお兄さん(わかりますね?)がまた訳のわからんことをやりましたが、一体、この国の政治屋は何をしたいのでしょうか?。「死んでしまった人は皆仏様」なので、昔の偉人が余計に偉く見えるのかもしれませんが、最近の政界における「節操のなさ」は彼らが育った昭和時代には「恥ずべきこと」ではなかったのでしょうか?。右に行ったり、左に行ったりといやはや忙しいことで。「風見鶏」などと表された政治家の方がいましたが、なんのなんの。その子分達が現役の今の方が風見鶏指数は上昇しております。

《 リチャード・クーさんの絶品レポート 》
 さてさて、「灯台もと暗し」という言葉があります。今の勤務先で仕事を頂戴して二年になりますが、意外とアナリストレポートとかエコノミストレポートとかを読まなくなりました。どうしても「(社内のシステムを使って)いつでも読める」という頭があると、かえって読まなくなるものですね。だから、面白いことに外部の方から紹介されて、お、これ面白いとじっくり自社のレポートを読んだりすることがたまにあります。

 最近では、ユニークな意見で有名なリチャード・クーさんのレポートが非常に面白かったです。クーさんは野村総研に居たときから偏らない意見をお持ちの方でしたが、今回のレポートを読んで、改めてさすがクーさんと感じた次第です。

 著作権の問題がありますので、ここにその全文をお載せすることはできないのですが、要旨はこういう事です。

・ アイルランドの経済がいま叩かれているが、これをよく我々は脳裏に刻んでおかなければならない。なぜならばアイルランドは格付け機関に指摘されて財政再建に走って借金減らしをしたが、そのために経済が悪化した(締め付けをするのだから、当然ですね)。ところが、そうなると今度は経済の悪化を理由に「アイルランドの国債は危ないんじゃないか」と言われている。ことほどさように、今、世界中が陥っているバランスシート不況というものの正解は容易には出てこないのだ。

・ こうした中で円高と景気悪化、製造業空洞化を理由に、金融政策で量的緩和をしない日銀へのバッシングが始まっている。でも、これは間違っている。たとえばアメリカはリーマンショック後でも金融政策だけで経済悪化を食い止めようとしていたが、効果がないから財政出動(つまりは公共工事とかですわなあ)をしないとマズイと言い始めている。またイギリスも金融政策をガッツリやっている中で「量的緩和をしない日本は今も不景気だ」と日本を小馬鹿にしたが、最近はその効果がないことがハッキリしたから日本との比較をやめている。結局は量的緩和をいくらしても、実際にカネが回らないことには景気回復は始まらないし、景気回復しないと借金は返せない。金をジャブジャブ入れればどうにかなるべぇ、という甘い話ではない。

・ 円高ということは間違いなく、ドルやユーロや他の国の通貨よりも日本の通貨が信頼されているということだ。例えそれが消去法的な選択であっても、だ。でも、一方で日本の借金はGDPの二倍という強烈な財政赤字の国。にも関わらず、わずか1%しかない国債利回りでやっていけているのは、日本国民や世界の金融市場の参加者が「日本を信用している」ということにほかならない。

・ ここで日銀がテレビに出てくる政治家や経済評論家(クーさんも経済評論家です….(笑))の圧力に屈して、お札をジャンジャン刷って、ヘリコプターで空からまいたらどうなるか?。一気に日本円と日本自体への信頼が揺らぐだろう。そうなるとデフレどころかハイパーインフレだ。要するに本当に国家破綻。それをいくら圧力をかけられてもやらないと黙殺している日銀は偉い(佐々木注:総裁もエライ)。日本国民はこういう日銀が自分の国の中央銀行だったことを幸運だったと思うべきだろう(クーさんは台湾の方です)。

・ バランスシート不況は解決がとっても難しい。その下で、中央銀行は解決する方法を持ち合わせていないのが現実である。しかし、一方で傷口を何百倍と開くことはできる。国民は一部の短絡的な政治家や学者や経済評論家の言うことでそういう自体にならないように、きっちりと見ていく必要がある。

《 企業経営も同じですな 》
 私はこれを拝読してなるほどと膝と打つと同時に、今の企業経営の難しさにそっくりだと思いました。

 財務諸表にはバランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書があります。しかし、この三つを同時によくすることは極めて難しい。たとえば利益が上がっているからこそ、財務バランスが悪くなるということはあります。鶏と卵の議論ですが、積極的な投資をしているからこそ借入で資金調達をして、それが売上と利益を押し上げているケースです。

 また、借入金は1%位の金利に対して、株式は5%位の株式コストがかかりますから、借金をするほうが教科書的には正しい(安いコストでの調達だから)。でも、実際は借金をじゃんじゃか増やせばバランスシートは悪くなります。つまり、企業でも国家でも格付け機関は今の時期は四の五の言って言って格付けを下げるぞと脅してくるわけです。

 で、個人的なつぶやきを言うならば、権威ある格付け機関というのが米系というのが気に入らない。お前らが色々なリスク債券を間違って格付けしたことが今の状況を招いたという責任はどうなってんだよ、とケチの一つや二つつけたくもなろうというものです。「謝れ、オイ!」(おっとっと、アブナイアブナイ、権威ある格付け機関様に読まれると抹殺されてしまうがじゃ(爆笑))。

 そう考えると果たして今の時期、何をすべきなのかということに関しては、基本に戻るしか無いんじゃないかと思います。あまり策に走っても意味がないかなと。つまりは、一円でも多く売上が上がるような営業努力、一円でも内部留保ができるようなコストセーブ、それらを支える人材の確保、借金は少なめに自己資本を厚く、と。今更、こんなことを言うと笑われますが。

《 「確信犯」的に生きましょうよ 》
 今は投資家向けレポートを書くアナリストじゃないから言えるんですが、投資家だって長期的な投資先というけど結局は短期的な株価パフォーマンスが上がるところに投資するしかないし、長期保有なんてそうそう出来ない、だって売らないと利益は実現できないんだから。年金理事会にパフォーマンス、パフォーマンスと問い詰められる彼らだって商売ですからね。よって投資家とかアナリストとか(もちろん佐々木も含めてですよ)を大層なもんだと思っちゃいかんのです。所詮は外野ですから。

 ただ、外野のヤジも時によっては旨く使えることがあるから、その見極めを上手にしながら「確信犯」的にやればよいということですよね。事業に関して言えば、それは事業会社の経営者と従業員の方が遙かに知っている。だから、まずは経営者は自分で考えて、煮詰まったら、従業員に聞くことですよね。でも、傍目八目で、外からヤジを飛ばしている観客の方が全体を見ていて、的確な状況判断が出来ていることもある。だから、後はバランスなんでしょう。

 クーさんのレポートは久々にそんなことを思わせてくれました。

 それにしても、一番最初に戻りますが、日本の政治家は酷い人が多いですなあ。いや、政治家じゃなくて、組織自体が金属疲労を起こしているんでしょうね。だったら、いっそ、全部の党が「はい!、本日ですべて解散!」とやって、麻雀よろしく牌をかきまぜてガラガラポンすりゃいいのにねぇ。それが一番簡単でしょう。組織維持のためだけに労力を使うほどバカバカしいことはないです。組織は何かをするために創り上げる手段なのですから。

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