2024年はゴジラシリーズの第1作からちょうど70年。2023年11月には久しぶりの新作も公開予定となっています。ほぼゴジラと共に人生を歩んできた私として、70年のゴジラの歴史をここにまとめてみました。今回は前回の昭和ゴジラシリーズに続き1985年から始まった平成ゴジラシリーズを語りたいと思います。

ゴジラシリーズの概要

東宝におけるゴジラシリーズとは大きく分けると

➀1954年の初代「ゴジラ」より1975年、15作目「メカゴジラの逆襲」に至る昭和ゴジラシリーズ。

②1984年の16作目新「ゴジラ」から1995年の22作目「ゴジラ対デストロイア」に至る平成ゴジラシリーズ。

③1999年の第23作目「ゴジラ2000ミレニアム」から2004年の第28作目の「ゴジラ FINAL WARS」に至るミレニアムゴジラシリーズの3部に分かれ、その後2016年の「シン・ゴジラ」。2023年11月公開予定の「ゴジラ-1.0」へと続く映画シリーズである。

ウイキペディア「ゴジラシリーズ」へのリンク)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%82%B8%E3%83%A9%E6%98%A0%E7%94%BB%E4%BD%9C%E5%93%81%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7

●平成ゴジラシリーズ

「ゴジラ(1984年)」

行くところまで行ってしまった昭和ゴジラシリーズは第15作「メカゴジラの逆襲」を最後に一旦終了しその後9年間の沈黙となる。そして満を持して東宝が送り出した本作である。

ストーリーは第1作を踏襲し、「怖いゴジラ」を蘇らせた。本作の決戦の舞台は東京なのだが1984年の段階ですでに銀座マリオンや新宿高層ビルなど東京の風景を構成する要素が既に揃っていたことに驚かされる。ゴジラとそれを迎撃する自衛隊の首都防衛空中要塞スーパーXが互いに相手を探しゴジラが銀座を練り歩く中、マリオンにゴジラの影が映し出されるシーンはこの映画で最も美しいシーンである。一説には有楽町に東宝の本社が有楽町にあることからこの界隈の再現に異常にこだわったそうである。そして本作は沢口靖子の実質デビュー作でもある。沢口靖子は相当な大根役者でゴジラ以上?に演技が出来なかったのであるが、その圧倒的な可愛さは観客の度肝を抜きその年の日本アカデミー新人賞を受賞し、挿入歌「さよならの恋人」まで歌った(この歌もなかなかのもの)。しかしそんな彼女が40年経っても演技はちっともうまくならず、そのくせ変わらぬ美貌で「科捜研の女」シリーズの主役などで活躍し続けると知れば本人もびっくりであろう。

「ゴジラ対ビオランテ(1989年)」

この映画については前作から少しタイムラグがあった。17億円と言うそれなりの興行成績を挙げた前作ではあるが、満を持してゴジラを復活させた当初の期待にはどうもものたら無かったのである。この期待外れの要因として今まで子供には最強と言えた特撮物の映画やテレビなどに対し80年代は「ガンダム」や「マクロス」などのロボットアニメが強力なライバルとして出現したことがあると思う。実写と違ってアニメは人が入らない分、複雑な造形やアクションが可能であり(要するにカッコいい)さらに作画やストーリーなども格段に進化していったので特撮物は少々分が悪かったのではないかと思っている。また映画好きにはたまらなかった怪獣が出現するまでの独特の「間」などもTVアニメに慣れた子供たちにはスピード感の無さに思えこの辺りを改善したいと考えていたのではないか。

東宝もここで今までとは違うゴジラを作りたいと考え、ゴジラシリーズとしては初めての外部から大森一樹を起用した。大森一樹は前年の斉藤由貴主演の窓際のトットちゃんなどで日本アカデミー賞監督賞を取っていた。大森一樹はたいそうな意気込みで医師免許を持つという知見を生かし、ゴジラの対戦相手をバイオテクノロジーによってゴジラの細胞(G細胞)と植物の合成怪獣「ビオランテ」に設定。また配役についても「黒い雨」で名だたる映画賞を総なめにしていた「キャンディーズのスーちゃん」田中好子を起用した。ストーリーについても舞台を中東に設定したりG細胞の奪取を図る国際的バイオメジャーを登場させたりして今までとは一味違うゴジラを目指した。

こうして満を持して公開された「ゴジラ対ビオランテ」であったが興行成績は10億円と前作を下回る結果となってしまった。

理由についてはいろいろあるが個人的には単純に「あまり面白くなかった」事だと思っている。

本来メインのストーリーはせっかく連れて来た田中好子と相手役三田村邦彦の二人のストーリーになるはずであるが二人がそれぞれ研究員でメインのストーリーにからみづらかった上に、怪獣と心が通わせられる少女、異常に存在感の濃ゆいマッドサイエンティストの高橋幸次やバイオメジャーのエージェントまでが現れテンポの良いストーリー目指したつもりが生煮えの角切りニンジンのてんこ盛りで消化不良を起こしてしまった。またビオランテも余り魅力的ではなかった。あり得ない生命力を持つG細胞をベースにしたのは良しとしてそこにマッドサイエンティストの高橋幸次がバラの細胞にさらに娘(沢口靖子)の細胞まで突っ込んだために正直何が何やらわからない怪獣になってしまった。そしてどうしても植物由来の怪獣のため空を飛ぶでもなく動きもほとんど少なく怪獣ファンが一番期待する怪獣のバトルシーンが単調になってしまった。要するに大森一樹がゴジラを好きすぎていろいろ詰め込みすぎ自爆してしまったのだと思う。

とは言えこの作品は自衛隊の全面的な協力の上で自衛隊の攻撃シーンも迫力満点であり前作に引き続いて登場した陸上自衛隊のスーパーXがなかなかの良い動きをしてゴジラを序盤追い詰めていったことが印象に残った。ちなみにスーパーXのオペレーターの一人として21歳の鈴木京香が出演している。

大森一樹はどうもゴジラが大好きになったようで平成ゴジラシリーズ最後の「ゴジラ対デストロイア」まで彼はゴジラシリーズに付き合うことになる。しかしゴジラの内容についてやはりビオランテではどうも相手役としてネームバリュー?に難があったせいか次回作以降はキングギドラやモスラなどのお馴染みのわき役で周りを固めるようになり、孤高の存在であったゴジラもミニゴジラやリトルゴジラ」などの「家族」が出来るようになった。やはりゴジラも水爆の申し子「核家族化」は避けられないのだった。

次回へ続く

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