- なんだかバタバタしているうちに夏が終わってしまった。来週はシルバーウイークでまた旅行代金があがる。というわけで、ちょっと旅に出た。といっても「超」近場の「北関東」。温泉でもと思ったが「烏の行水」で滞風呂時間10分の筆者にはあまりにも勿体ないので、温泉はビジネスホテルの大浴場で代用することにした。
- 北関東は多くの製造業の工場やプラントがあり、休暇を取るにはあまり相応しくないようだが、流通業の調査研究をしている人間にとっては「宝の山」だ。その工場やプラントで働く人々のため人口は661万人(茨城、栃木、群馬)で日本全体の5%を占め、千葉県や埼玉県に匹敵するほどだ。そのため、元々ここで小売業を営む企業が多いことに加え、あちこちからこのマーケットを狙って新規進出やM&Aを進めようとする企業は枚挙にいとまがない。つまりは、筆者にとって絶好の見学場所なのだ。発見にこと欠かないのだけど、一方でふと疑問に思うことも多かった。
- まず第一に「広さは有利」だということだ。今、小売業、特に食品スーパーでは「ミニスーパー」と呼ばれる小型店舗の展開に各社が力を入れている。もともとはイオングループの「まいばすけっと」という東京を中心とした首都圏のミニスーパーが大成功したためで、立地が限られ、人口が多く、独身世帯が多い首都圏では加工食品がメインのコンビニとは違うニーズがあることに各社とも築いたためだ。しかし、やはり「広い店」は集客力が全く違う。そりゃそうだろう、豊富な品揃え、収益性を背景にした改装による店舗の綺麗さ、なにより働いている人の意欲が違う。ミニスーパーやドラッグストアといった小型店舗が小売業では注目を集めてはいるが、それは一般化できるものではないのかもしれない。
- 第二に「顧客の店舗選別は怖ろしいほど残酷」だということだ。多くの店は9:00か9:30から開店するが、8:45には駐車場に5割方車がとまっていて、ドアの前で開店を待っているところもあれば、10:00になっても1割ほどしか駐車場に車がない店もある。その違いは見せに入るとわかる。「安さ、商品差別化、店の綺麗さ」のいずれかが満たされているかどうか、だ。豆腐が一丁38円のところと108円のところでは、あきらかに顧客の関心が違う。では安ければ良いかといえば、それを補う「目を引く商品」があるところは安さに惹かれない層の顧客が来ている。店の綺麗さは上述のように収益性の裏付けがなければ定期的な改装がなければできないから、結局は店舗の魅力の「関数」だ。筆者も入店して3分で出てきてしまうところと、10分じっくり見るところがあることに、40軒回って気づいた。顧客指示は怖ろしいほど正直だ。
- 第三に「工夫次第でなんとでもなる」だ。これはもう少しキチンと説明しよう。PPIH(ドン・キホーテ)が買収した「ユニー」という総合スーパーがある。中京地区・神奈川地区ではかなりのシェアを持っていたが、子会社のコンビニを伊藤忠商事に売却するときに、分離して売却し、PPIHのものとなった。APITA(アピタ)はそのユニーのブランドだが、15年ぶりに発見した。いくら長崎屋の郊外型総合スーパー「ラ・パーク」を「メガ・ドンキ」として成功させたPPIHとはいえ、アピタはキツかろうとみていたのだが、見事に続々と顧客が集まってくる。見ると、「食品館」「専門館」「レストラン館」に内部を整理し直し、それぞれに来る顧客層が異なっている。ワンストップショッピングだが、顧客は三つの層に分かれている。なるほど工夫次第でなんともなるものだ。
- これを書いているのはまだ見学中だ。そのため、まだ頭の中がうまくまとまっておらず、散漫なことを書き綴っていることをご容赦願いたい。ただ、「北関東は激戦区」と耳学問で聞くだけではなく、実際に訪れてそこに済む消費者や環境などを合わせ見ると、予想していたものとは違うレイヤーが二層、三層と重なって実態が出来ているように思えてならない。ちなみに北関東に訪れる前に生成AIを使って色々と調べたのだけど、上で述べた三つのことはどれひとつ出てこなかった。まだ実際に見てみることの方がはるかにリアリティを持つのだということにもショックを受けた遅い夏休みの小旅行である。
(了)